コラムのページより「JUST ONE IDEA」入門編に関するものをまとめました。


2015/1/19

今日まで色々な形でダンスの勉強をしてきました。メインはやはりトップコーチャーのレッスンを受けることですが、他に書物、教本、ビデオ、DVD、最近ではインターネット動画などもありますね。今までに読んだ中でこれは良かったなと思う一冊「JUST ONE IDEA ただ一つの理想像」という本をを紹介します。1986年発行、レン・スクリブナー著、小山賢之助訳、220ページほどの本で定価5500でした。20年以上前に初めて読んだ際、当時の自分にとってとても役立つ内容がたくさん書いてあって、ダンスの形や動き、理論が説得力のある言葉で表現されていて繰り返し読んだものでした。今読み返してみても、「なるほどなあ」と思えることが多いです。今後このコーナーで「JUST ONE IDEA」より、として紹介ていきたい思います。


2015/1/20

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より 入門編 ホールドとスタンス(抜粋)

ホールドと基本的なスタンスには細心の注意が必要である。これらに欠点があれば、ゆとりのある動きやバランスを身に着けることは不可能に近い。正しく立ち、美しくホールドすることは、よい踊りの第1条件である。

(男子)足を揃えて直立し、上体は腰のあたりを心もち伸張させる。ただし、両肩は完全に緊張をほぐしておくこと。体重は足に甲の部分に感じるようにし、決してヒールに感じてはならない。両脚部は心もち緩めておく。すなわち、両膝に自然なゆとりを持たせる。頭部は楽に垂直に保ち、女子の右肩越しに前方を見るために、心もち左に向けておく。両肘は肩の線を崩さぬ範囲で高く保つ。両肘の高さは等しくなければならず、一方が目立って低いと、スタイルも悪く、バランスを保つことができない。いかなる場合にも手の動きで何かを表現しようとしてはならない。そして、パートナーを安楽に、確実に、優雅にホールドすること。

(女子)女子のスタンスは男子と同様であるが、頭部と肩の部分を心もち後方に構える。このポイズは女子の姿勢の主な特徴である。後傾姿勢を誇張しすぎて腰から後ろに傾くと動きが重くなり、自然なムーブメントを妨げるので注意しなければならない。女子は男子に対応してホールドの位置を定め、それによって個体としてのバランスを感得すると同時に、カップルのバランスに寄与しなければならない。


2015/1/22

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より 入門編 男子前進ウォーク(抜粋)

具体性を持たせるため、ここでは足の前進を例にとって記述してみよう。両足を揃え、体重を右足(この時点では足のボール寄り)に乗せて立つ。脚部を腰から前方に振り出す。この時左足のボールは床に接触している。足が右足のトウを通過するとき、右足のヒールは上体を推進するために床から離れる(踊り手の運動は進行歩ではなく、主として支え足によってもたらされる)。左足は最後にロウアして、ヒールが床面を滑り、歩幅が最大に開いた時、体重は後足のボールと前足のヒールの中間に位置するはずだ。ここで足トウを直ちにロウアし、上体の重心は慣性によって左足の上に移動する。同時に右足は、つま先が軽く床をかすめながら、前方の左足に閉じていく。体重を左足に、両足がそろった状態から、右足が足の傍らを通過して、前述と同様の過程により右足ウォークが繰り返される。


2015/1/23

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より 入門編 女子後退ウォーク(抜粋)

具体性を持たせるため、ここでは右足の後退を例にとって説明してみよう。両足を揃え、体重を左足(この時点では足のヒール寄り)に乗せて立つ。右脚を腰から後に振り出す時、ボール、次にトウが床をかすめる。右足が左足ヒールを通過するとき、上体を後方に推進するため、左トウは離床するはずだ。歩幅が最大に開いた時、体重は前足のヒールと後足のボールの中間に位置する。上体が後退を続けるに伴って、左足はヒールを軽く床に擦りながら、右足に引き寄せる。左足が右足に並ぶ瞬間に右ヒールが着床するよう(それ以前に着床せぬよう)、ヒールのロウアをコントロールしなければならない。今や体重を右足に、両足は揃っており、続く左足の後退ウォークに備えて、左足のボールは床に接しているであろう。

前進と後退のウォークを理解させるための一般原則を、私は次のように説明している。

 ①前進ウォークの始動は、上体を腰から振り出す感覚で。

 ②後退ウォークの始動は、脚部を後方に伸ばす感覚で。


2015/1/27

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より 入門編 コントラリー・ボディ・ムーブメント(C・B・M)(抜粋)

前進する足と反対側の体側が前身歩寄りに動くのは、日常の歩行では当然のことである。この反動運動は自然なバランスを保つために生じるものである。歩行の速度を速めると、腕を交互に振る必要が、より鮮明に感じられる。これがC・B・Mそのものであり、特に回転運動に当っては、その動きが一層明瞭に感知できる。C・B・Mに関して銘記すべき重要なポイントは、肩だけを動かすのではなく、躰幹全体にわたって、わずかにスィングすることである。この動きを先ず腰に感じ、肩は一切の緊張を排して自然に委ねるならば、躰幹はおのずから一体となって運動するはずだ。


2015/1/29

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より 入門編 コントラリー・ボディ・ムーブメント・ポジュション(C・B・M・P)(抜粋)

C・B・M・Pとは、いずれかの足が、上体の向きを横切ってステップした時のポジションを云う。それは前進、後退の双方について発生する。その主たる役割は、パートナーの外側にステップする動作を容易にすることである。ある種のステップではC・B・MとC・B・M・Pが同時に使用される。この2種類の様相は非常によくに似通っており、時として区別が困難なことさえある。大胆に定義するならば、“C・B・Mは前進歩に反対側の体側が接近する動き”であり、“C・B・M・Pとは足が反対側の体側に接近する動き”である。


20152/2

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より 入門編 スウェイ(抜粋)

ダンスでは各種のスウェイが極く自然に用いられているが、過剰に使用せぬよう注意せねばならない。熟練者は特殊な効果をねらってスウェイを用いることができるが、それとても、動力学の原理に照してみると、大なり小なり自然の理にかなっている。自転車に乗って角を曲がるときには、回転の内側に傾くのが自然である。ダンスにおいても、回転を容易に、バランスよく行うためにスウェイが用いられる。一つの原則は、右足C・B・Mの後には右スウェイ、左足C・B・Mの後にはスウェイが続くことである。


2015/2/5

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より 入門編 ダンスのリード(抜粋)

ダンスの主導権は男子にあり、従って男子には女子をリードする責任がある。男子は踊りのパターンを定め、フィガーを選択する。女子の役割は男子にフォローすることであり、このために腰から上の上体を平静に保たねばならない。もちろん女子は、男子の動作が示唆するところに、同調して動く体制を整えねばならない。男子は胴体と、右手ホールドの軽い圧力との連携によって女子をリードする。ホールドは、やたらに締めつけてはならないが、女子にリードが伝わらないほど弱くてもいけない。


 2015/6/5

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より   基礎理論 ライズ&フォール(抜粋)

技術書ではフェザー・ステップのライズ&フォールは次のとおり記述されている。「第1歩の終わりでライズ。第2,3歩はアップ。第3歩の終わりでロアー。」これは理想的なライズ&フォールを正確に記述したものではない。ライズのピークは第2歩の上を体重が通過する時点にあり、上体のフォロー・スルーが第3歩を前方に運ぶが、この時、足は下降の軌跡を描いている。第3歩の終わりにはヒールが床に接触している。したがって正確を期するには技術書を次のように読み替える必要がある。「第1歩の終わりでライズ。第2歩はアップ。第2歩の終わりでロアーを始める。第3歩の終わりでダウン」上級の選手はこのように踊っているが、別に第2歩の終わりでロアーしようと努力している訳ではなく、動力学の法則に委ねているにすぎない。


2015/7/10

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より   基礎理論 ムーブメントの本質(抜粋)

ムーブメントには目標とすべき2つの側面が含まれる。ムーブメントの安楽さと、ムーブメントの原動力がそれである。まず滑らかにという考えかたが根底にある。良いダンスとは踊り心地が良いものでなければならないし、パートナーとの接触が振動したり、パワーが唐突であっては快適さは望むべくもない。運動のエネルギーを基本的に理解するためには、押しと引きの役割を明確に認識すればよい。大雑把にいうと、ロアーするステップは、すべて体重を支える脚部の押しによって始動し、ライズするステップは支え足の引きに依存する。


2015/6/11

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より   基礎理論 ステップ&スウィング(抜粋)

ステップ&スウィングとは、ウォークの後をボディー・スウィングが引き継ぐことをいう。ステップ&スウィングの原理をより理解するには、筋肉のプッシュ&プル(押しと引き)運動を肉体的感覚として身につけなければならない。ウォークはまず支え足の押し(推進)から始動する。それはまず上体を推進し、進行歩が伸びきって着床ところから引きの動作に移ってウォークが完成するが、この動作は上体をライズさせる。この引きによってボディー・スウィングが始まっており、脚のスウィングがこれを引き継ぐ。


2015/7/31

レン・スクリブナー著 JUST ONE IDEA」より   基礎理論 バランスについて(抜粋)

基本的な2種類の動作、即ちウォークとサイド・ステップにおいて、より良いバランスとコントロールを体現するための2大原則に的を絞りたい。コントロールの第1は、ウォークを始める時の支え足にあり、「進行歩の反対側の体側を伸張させて支えとすること」である。第2のサイド・ステップにおいては「進行歩の体側を伸張させること」である。